美味しいものは何でも好きだけど、フレンチとイタリアンは特にどちらも大好き❤️
岩男の原始時代
飲み友達としての期間は長かったけど、ろんが岩男を認識し出した期間はそんなに長くない。
短い交際期間の中で、実は気になっていたことがあった。
岩男はカトラリーの扱いを知らない
ろんがフレンチとイタリアンが特に好きだと知った岩男は、それなりのお高めラインのお店に連れて行ってくれた。
そこで、すぐに気づいたことがある。
岩男は食事中、話が佳境に入ると
ナイフ・フォークを振り回す
もちろん
ワインはグラスを持ってついでもらうし
パンにはかぶりつく
神田うのさんが独身時代に、結婚まで考えた相手をごく親しい親族の食事会に呼んだ時に、自分の分のパンを間違ってむしゃむしゃ食べたのを見て、別れたという話を聞いたことがあるだろうか。
この話をろんは思い出していた。
当然、気にはなったが、ろんは神田うのさんじゃないので、そんなことで結婚を取りやめにする気は無かった。
特に幻滅もしなかった
だって、単純な話だからだ。
知らないものはわからない
それだけの話だ。
ろんに刻まれたコンプレックス
生まれ育ちについて、特に誇れる点はろんには、ない
小学生くらいになる頃には、家が周りより貧乏であったり、素行がよろしくないと評判の『母』がいたりすることは、既に諦めていた。
しょうがない。
そういうカードを配られた運命
このデッキで勝負するしかない(それ以外の選択肢がないwww)
だけど、知識だけは自分で得られると子どもながらに気づいていた。
幼い頃から、本を読みまくっていたろんは、他の子に比べていわゆる『物知り』だった。
Google先生のまだいない時代。
多少の『物知り』でも少しは気持ちを保てた時代。
小4の時に衝撃的な出来事があった。
冬休み明けの教室で、冬休みに何をしたか先生に当てられた児童が答えていた。
ある子が
『お正月にお家でお神酒をみんなで飲みました。不味かったです』
教室はどっと笑った。
でも、ろんは笑わなかった
『お神酒』を知らなかったのだ。
ほんの少しだけ持っていた『周りの子より物知りである』という小さな自負心にヒビが入った瞬間だった
ろんの原家族では季節行事はおざなりだった。
豆を年の数食べることもなければ
雛人形の姿形を実際に見る機会もなく
笹の葉を飾ることもお月見することもなかった。
クリスマスには幼稚園の年代の頃からお金を渡されて、自ら買い物に行っていた。
だから件の『お神酒』なんて知らなくて当たり前だった。
元気出せよと小学生の自分には、心から言ってあげたい。
その時に深く深く思ったことが
一般常識を知るべきだ
これは今でも、ろんのコンプレックスとして深く刻まれている。
偏った外食経験値、急上昇⤴️
その後、お神酒について調べたろんは、ついでに季節行事や料理のあれこれなんかを知ることになる。
そこでいわゆるテーブルマナーにも出会った。
世の中は知らないことだらけだった。
大人になって、実際にそれなりの店で食事をするようになってからも、ろんは自分に自信がなかったので、ずっとテーブルマナーについては気にして学んでいた。
今でも特に自信はない。
そういう場所に慣れはした。
でも、刻まれたコンプレックスは深いのだ(^^;;
そういう背景があるので、岩男に幻滅することはなかった。
でも、そのままでいいとは思ってなかった。
ろんは美味しいものを2人で楽しみたいのだから。
それから少しずつ、根気よく、岩男にはテーブルマナーについて言い続けた。
お皿や食事より、あなたの方が偉いんだから
あなたが食事を皿の近くに迎えに行く必要はないわ
ワイングラスは割れやすいから、持ち上げて瓶とぶつかると大変。
軽く下に手を添えて、感謝は直接言えばいいんじゃないかな
カトラリーは口元より上に上げる必要なんかないわ
あなたがそんなにカトラリーに労力を割いてあげなくていいのよ
ちなみに服装については、そういうお出かけの席に行く時は一通りろんが用意した。
結婚して15年経つけど、岩男は今では服装も靴も自分で選べるし、凝った形式のものでなければフレンチをそれなりの身のこなしで楽しみながら食べ終えることもできる。
フレンチやイタリアンに行きまくった賜物だ✨
トスカーナと言えばサンジョベーゼ
こうして晴れて非常に偏った外食経験値を持つ中年男性が完成した。
…んだけど
何年か前から岩男がお店の人に向かってこんなことを口にするようになった
あぁ、今日はホロホロ鳥が入ったんですね
トスカーナと言えばサンジョベーゼですもんね
これだけ偏ったレストランばかりに行けば、覚えてしまうのだ。
カトラリーを大ぶりに振り回して食事をしていた岩男の口から
『トスカーナと言えばサンジョベーゼ』
なんて言葉が出てくるなんて、隔世の感がある。
感慨深い…よりもちょっと腹立たしい🌀
岩男が、お前が、何がトスカーナと言えばサンジョベーゼだ‼️
そんな気持ちになる😑
それでも欲には勝てない
お高めラインのレストラン好きの知人と出かけても、食事マナーについて褒められて帰ってくるまでになった岩男は
とっても嬉しげである。
うん、まぁ、いい。
でも、ろんは知ってる。
気を抜くと、岩男は今でも
パンにそのまま齧り付く
この癖だけは時々出てくる。
以前は、口に運ぶ前に目配せしたり、声をかけていたけれど、最近はただ上から目線で見ている(👈性格に難がある)
ろんがニヤニヤしてるのに気づくと、ハッと岩男も思い出す。
パン、美味しいよねぇ😏
平和な世の中を望んでいます
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